パフォーマンス・コンサルティング

パフォーマンスとは?

人事・人材開発分野の「パフォーマンス」とは、組織で働く人が実務で行っている行動と成果」のことです。

一般的に、「パフォーマンス」という言葉は厳密な定義がされずに使われている場合が多く、人によってその重心が「成果や業績」にあったり、「行動」にあったりします。したがって、「パフォーマンス」と聞いたときにはその人が何を意味して使っているのか、注意が必要です。

パフォーマンスの定義にはいろいろありますが、もっとも有名なものは次のギルバートの定義です(Thomas Gilbert, Human Competence,1978)。

ギルバートのパフォーマンスの定義

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ギルバートは、条件が整えば、ほとんどの人はみんな有能な人材レベルの成果をあげることができると信じ、そのための理論と方法論を追究した人です。

この式(といっても数式ではありませんが)を少し補足します。ここでいう「行動」とは組織で働く人が実務で行っている行動です。たとえば、営業担当であれば顧客のことを調べたり、提案書を作成したりすることです。「成果」は受注や売上といった定量的な業績だけでなく、顧客からの信頼獲得といった中間的な成果も含みます。

 

この式は大事なことをふたつ示しています。

ひとつは、パフォーマンスはよく使われるような成果や業績だけでも、行動だけでもないということです。

 

もうひとつは、成果は何らかの行動の結果だということです。つまり、成果を高めるためには実務における行動を変える必要があるということです。さらに言えば、人の行動の量・質・バリエーションのどれかが変わらない限り成果は変わらないとも言えます。

「同じことばかりやって、成果が改善するはずないだろう」というセリフをどこかで聞いたことがあると思いますが、この式からそんなことを連想してしまいます。

 

ヒューマンパフォーマンス」という場合、組織レベルのパフォーマンスではなく、プロセスレベルのパフォーマンスでもなく人(職場の従業員)のパフォーマンスであることを明確にしています。

ヒューマンパフォーマンスが「組織で働く人が実務で行っている行動と成果」を意味することは同じです。余談ですが、少し古い文献をあたっていると、こんな説明があります。

 

組織で働く人のパフォーマンスを改善するテクノロジーのことをふつうはPerformance Technologyということが多いが、Human Performance Technologyというときは、パソコンなど機械のパフォーマンスではなく、映画などの演技のパフォーマンスでもなく、職場で働く従業員のパフォーマンスであることを明確にするために”Human”をつけている

 

Performance Improvementと言っていたのがHPI(Human Performance Improvement)になったのも同じような意味合いだと思われます。

 

その他、パフォーマンスという言葉は、スポーツ選手の身体能力の発揮度合、音楽家の演奏の出来、政治家の芝居がかった言動など、いろいろな場面でも使われていますが、ビジネスでのパフォーマンスは上記の意味だということです。

 

パフォーマンス・コンサルティングの本質はギルバートのパフォーマンスの定義に表わされています。一言で言えば、高い成果が上がるように従業員の行動を変え、組織全体の成果・業績を向上するということです。

しかし、難しいのはどうやって従業員の行動を変えるのかということです。

 

パフォーマンスが低い原因は何か?

パフォーマンスの経済的価値

ギルバートは「価値のあるパフォーマンス」を次のような数式で示しました(Thomas Gilbert, Human Competence,1978)。

価値のあるパフォーマンス

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この意味するところを平たく言えば、「いくらやっても成果が出なければ意味がない」とか「ムダな動きはするな」というようなことになると思います。

言い方を換えると、優秀な人はムダな動きをせずに高い成果を上げます。もちろんそのレベルに達するには相当な努力が必要ですが、有能と言われる人はパフォーマンスの経済的価値が高い人です。

人間の能力を有能な人材レベルにまで高めるためには以下のことを理解しておくことが重要だとギルバートは言っています(Thomas Gilbert, Human Competence,1978)。

 

  1. 有能な人材レベルになるためには、成果を最大化し、それに伴う労力を小さくすればよい。本当の能力の価値は、行動ではなく、成果にある。
     
  2. たくさん働き、膨大な知識を持ち、高い意欲があったとしても、それに見合うだけの成果がなければ、パフォーマンスの価値はない。
     
  3. 偉大な業績だとしても、それに多くの人の行動を要しているのであれば、価値はない。エジプトのピラミッドは古代の偉大な業績とされるが、本当に価値のある古代の業績はアルファベットである。
     
  4. できるだけ少ない行動でパフォーマンスを生み出せるようにするための投資(カネ・努力・時間)は十分に元がとれる。
     
  5. 行動(労働量・知識量・意欲などの分母)に対して報いる仕組みは、人間本来の能力の発揮を徐々に低下させる。パフォーマンスの実質的価値を見ずに、単に結果(分子)だけに報いる仕組みは、人間本来の能力を評価しない不完全な仕組みである。
     
  6. パフォーマンスに経済的な価値がある(測定しているという前提)ときに、人的資本が最大に活かされていると言える。

「ㇺだな動きをせず、簡単そうにやっているように見えるレベルになるまでが大変なんだ」と突っ込みたくなりますが、なかなか意味深なことを言っています。

結局は、「分子を大きく、分母を小さくするだけの話」と言えばそれまでですが、職場の従業員のパフォーマンス(行動と成果)を改善するときの基本原理として頭に入れておきたいことです。

外資系企業の施策の根底にはどこかこんな考え方があるような気がします。

 

パフォーマンスが低い原因は何か

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代表者プロフィール

鹿野 尚登 (しかの ひさと)

1998年にパフォーマンス・コンサルティングに出会い、25年以上になります。
パフォーマンス・コンサルティングは、日本企業の人事・人材開発のみなさまに必ずお役に立つと確信しています。

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