「どんな研修をやるの?」「eランのコンテンツはどうなの?」など、ふつうはソリューションそのものに目が向きます。もっと言えば、目新しいソリューションを探すことが仕事になっていたりします。
一方、パフォーマンス・コンサルティングでは、「目指している事業成果は何か?それにどう結びつくのか?」「その解決策で業績に結びつく望ましいパフォーマンスが発揮されるのか?」ということを重視します。ソリューションは手段ですから、目的である事業成果とパフォーマンスを先に考えるということです。
人のパフォーマンスは個人の知識・スキルや能力といった内的要因だけでなく、上司のマネジメント行為や評価制度、業務フローや職場で活用できる情報システムなど多くの職場環境要因の影響を受けています。
人のパフォーマンスの結果、何らかの成果が生まれ、その積み重ねが組織の業績になります。そして、この事業成果は組織の外部要因からも影響を受けています。
このように人のパフォーマンスは、それぞれの要因が相互に作用するシステムの一部としてとらえます。パフォーマンス問題の原因分析や解決策を考えるときにはこのような前提で見ていきます。
パフォーマンス・コンサルティングの現状分析では、パフォーマンスのあるべき姿を確定したり、望ましいパフォーマンスの発揮を阻害している要因を特定したりします。
このプロセスでは、ターゲット従業員グループやその上司にインタビューやアンケートを行います。そして、これらの現場のデータをもとにギャップの原因の因果関係を明らかにします。その上で、最終的な解決策を選択していきます。
つまり、現場のデータをもとに意思決定をするということです。
原因に対応した適切な解決策を選択することがパフォーマンス・コンサルティングで大事にしていることのひとつです。逆に言えば、原因の見立てを間違えて解決策の投資をムダにすることをよしとしないとも言えます。
しかし、実際は原因分析をきちんと行わずに、経営幹部一人の見立てや影響力の強い人の思い入れで解決策が決まることが少なくありません。
大きな投資になるときは、必ず原因分析を行い、その裏付けをとるということです。「急がば回れ」というところでしょうか。
人材開発部門にいると暗黙のうちに研修やEランという解決策を前提に発想しがちです。
また、導入するソリューションを先に決めておいて、形式的な裏付けをとるために簡単な調査をするということも少なくありません。さらに、どのような原因分析の結果になろうとも、強調する原因は決まっているという場合もあるかもしれません。
パフォーマンス・コンサルティングでは、原因を分析するときも、ソリューションを選択するときも、このような偏った見方を排除し、中立的にとらえていきます。
期待されているパフォーマンスが発揮されない原因は、本人の知識やスキル不足だけでなく、上司や職場環境に起因する原因など、複数あるのが一般的です。
もっと言えば、単に研修だけ実施して成果が出るという状況は少ないということです。
パフォーマンス・コンサルティングでは、原因分析の結果、複数の原因が見つかればそれぞれに対応した解決策を選択し、それらを組み合わせてシステム全体がうまくまわるようにアプローチします。
パフォーマンス・コンサルティングの大まかな流れ、プロセスは以下のとおりです。
まずは、クライアントと相談の上、パフォーマンス・コンサルティングで取り組むプロジェクトのアプローチや範囲を決めます。
プロジェクトのアプローチは次の2種類があります。
ひとつは、原因特定重視型です。これは最初から実行する解決策を想定せず、パフォーマンス現状分析で問題の根本的な原因を明確にすることを優先し、そのあとで解決策を決めるアプローチです。
もうひとつは、ソリューション重視型です。こちらは、実行する解決策を最初から決めて進めていくアプローチです。
このフェイズでは、プロジェクトの背景にある経営幹部が期待している事業成果(目標)と事業目標を達成するためにカギとなる従業員のパフォーマンス(行動と成果)を明らかにします。この業績向上につながる行動を見つけることが非常に重要です。そして、それらに対し、現状の業績とパフォーマンスはどれほどのギャップがあるのか、さらにその原因を明らかにします。
パフォーマンス・コンサルティングではこの現状分析を重視します。というのは、原因の特定を間違えると、解決策も間違えることになり、解決策を開発・実行する費用がムダになってしまうからです。
解決策が決まれば、それを開発し、実行していきますが、パフォーマンス・コンサルティングでは、複数の解決策を組み合わせて実行するのがふつうです。というのは、パフォーマンス問題の原因は、「従業員のスキルや知識が足りない」といった単純なものではなく、従業員の上司や職場の要因が絡み合うことが一般的だからです。
そして、最後は解決策の効果を測定します。とはいえ、この段階で効果をみる指標を決めるのではありません。パフォーマンス現状分析で明らかにしたクライアントが求めている業績指標やそれらを達成するためにカギとなるパフォーマンスの発揮度合いが効果測定の指標になります。つまり、現状分析の段階で効果測定の指標は決まっているのです。
全体のプロセスは、大きく言って前半のパフォーマンス現状分析までと後半のソリューションの開発実行以降のふたつに分かれます。
クライアントとの合意によっては、前半のパフォーマンス現状分析を中心に取り組むことがあります。たとえば、パフォーマンスモデルの作成や育成ターゲットスキルを明確にするところまでを担当するというようなケースです。
ハイパフォーマーと平均的な従業員の違いを生んでいる実務行動、その品質基準、促進・阻害要因を整理したものです。従業員にとっては、業績を高めるために何をすればよいのかがわかるヒント集になります。マネジャーにとっては指導のポイントや職場環境で整備すべきポイントがわかります。
ハイパフォーマーと平均的な従業員のレベルがどの程度違うのか、具体的にはどのような行動項目が低いのか、上司の見方と従業員の見方の違いはどうかなど、グラフやマトリックスで見える化します。
パフォーマンスのあるべき姿が発揮されない要因は従業員の知識やスキル不足だけではありません。上司のマネジメント行動、評価やインセンティブといった仕組み、職場の仕事の進め方など職場の環境にもいろいろな要因があります。
従業員のパフォーマンスの改善に必要な人材開発と職場に対する打ち手を明らかにします。
高いパフォーマンスが発揮されていない原因に対応させて解決策をご提案します。たとえば、以下のようなものです。
パフォーマンス・コンサルティングⅡ
研修効果にこだわる人事・人材開発スタッフには、おすすめの一冊。人材開発部のビジネス志向を高めるための具体的なフレームを整理した本です。
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お気軽にお問い合わせください。
鹿野 尚登 (しかの ひさと)
1998年にパフォーマンス・コンサルティングに出会い、25年以上になります。
パフォーマンス・コンサルティングは、日本企業の人事・人材開発のみなさまに必ずお役に立つと確信しています。
代表者プロフィール
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