パフォーマンス・コンサルティングはソリューションそのものではありません。人にかかわる問題の適切なソリューションを見つけ出し、実行し、効果測定をするまでの一連のプロセスです。端的に言えば、人事・人材開発スタッフが事業ラインに対する業績貢献を高めていくための仕事の進め方です。
よくある人材開発とパフォーマンス・コンサルティングの主な違いを対比させて比較表にすると以下のようになります。わかりやすくするために、「よくある人材開発」はデフォルメしていますが、ご容赦ください。
最大の違いは、焦点です。
よくある人材開発は、「よい研修」をたくさん実施することに重きがあります。一方、パフォーマンス・コンサルティングは事業成果に結びつく実務行動を促進することに焦点があります。効果測定の4レベルで言えば、パフォーマンス・コンサルティングは最初から3レベル以上に焦点があるわけです。
次に、「どのようなときに人の行動が変わるのか」という大前提、仮説が大きく異なります。よくある人材開発では、「個人の意識が変わり、スキル・知識を習得すれば、望ましい行動に変わる」という前提です。しかし、本来的に人間の行動はそう簡単に変わりません。さらに、研修で学習する知識やスキルは一般化されているため、受講者が各社の実務に合わせて応用することが必要です。
それに対し、パフォーマンス・コンサルティングでは「人の行動と成果に影響する要因は個人的な要因だけでなく、職場環境要因などがあり、スキル・知識の習得だけでは変わらない」という前提に立ちます。したがって、重視するのはターゲットの従業員が成果につながる行動を発揮できない原因を明らかにするということです。そして、知識・スキル以外の原因も含めて、様々な手を打つことが必要だと考えるのです。
このような焦点や大前提が異なるので、以下のニーズ把握、プロセス、ソリューション、効果測定の考え方や手法が違うものになるわけです。
このふたつのプロセスの違いを見てお気づきのように、パフォーマンス・コンサルティングのアプローチでは、人材開発担当者の仕事が大きく変わります。つまり、従来やっていないことをすることになるでしょう。
たとえば、「パフォーマンス現状分析」のフェイズでは、成果につながる実務行動を定義したり、その行動が発揮されない原因を特定したり、育成ターゲットとなる重点スキルを明確にしたり、学習以外のソリューションの候補を明らかにしたりします。
つまり、研修というソリューションを一度棚上げにして、いろいろと調査・分析する工程が必要になるのです。
このような調査・分析の工程に取り組むので、組織業績の向上に直結する人材開発施策の企画・設計が可能になるわけです。それに加え、育成施策を活かす多様な施策についても設計ができるようになるのです。
ざっと見てきて、「なんだか人材開発部の仕事の枠を超えているなぁ」とお感じになると思います。それものそのはずで、1995年に『パフォーマンス・コンサルティング(初版)』が出たときの原書タイトルは、“Performance Consulting: Moving Beyond Training”でした。拙訳のサブタイトルは、「人材開発部門は研修提供から成果創造にシフトする」としています。
パフォーマンス・コンサルティングⅡ
研修効果にこだわる人事・人材開発スタッフには、おすすめの一冊。人材開発部のビジネス志向を高めるための具体的なフレームを整理した本です。
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ヒューマンパフォーマンスはパフォーマンス・コンサルティングを実践します。
人にかかわる施策、人材開発と事業戦略の連動性を高め、業績向上に貢献することがテーマです。研修効果で悩んだことがある方には有効なフレームワークです。人材開発のあり方や研修の見直しを検討されている人材開発担当の方におすすめです。
お気軽にお問い合わせください。
鹿野 尚登 (しかの ひさと)
1998年にパフォーマンス・コンサルティングに出会い、25年以上になります。
パフォーマンス・コンサルティングは、日本企業の人事・人材開発のみなさまに必ずお役に立つと確信しています。
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