どうすれば人材開発投資を業績向上に結びつけることができるか?パフォーマンス・コンサルティングはそんな素朴な問題意識から始まっています。
パフォーマンス・コンサルティングとは、経営幹部と人材開発スタッフが協働して事業目標の達成に役立つパフォーマンス(カギとなる従業員の実務行動と成果)を明らかにし、それらを促すことで、組織の業績向上に貢献するプロセスのことです。
パフォーマンス・コンサルティングはソリューションそのものではありません。平たく言えば、人事・人材開発スタッフが施策を通じて組織業績に貢献するための仕事の進め方です。もう少し言うと、人事・人材開発スタッフが経営陣に協力し、ターゲット従業員のパフォーマンスが高まらない原因を突き止め、適切な解決策を実行することで、最終的な業績(事業成果)を向上するプロセスです。
このプロセスをざっと見ていくと次のようになります。
まず、経営が求める事業の目標(目指していること)を明らかにします。そして、その事業目標を達成する上でカギとなる従業員の実務行動(行動のあるべき姿)を見つけます。この業績向上につながる実務行動を見つけることが非常に重要です。
次に、この事業と行動のあるべき姿と現状のギャップを明確にします。つまり、目標に対し現状の業績はどうなのか、カギとなる行動がどの程度発揮されているのか、いないのかを明らかにします。
組織の業績と従業員のパフォーマンスとのギャップが明確になったら、次はそれらの原因をインタビューやアンケートを通じて明らかにします。そのときに、単に知識やスキル不足といった従業員の内的要因を原因とするのではなく、職場環境の要因も分析していきます。
現状には、業績向上につながる行動が発揮されない何らかの要因があるのです。
それから、現状のギャップの原因を特定し、それらの原因に対応させて解決策をつくり、実行するのです。
詳しくは、基礎知識-パフォーマンスが低い原因は何か?をご覧ください
この解決策はいろいろです。たとえば、上司のマネジメント行為の改善、職場の仕事の進め方や情報システムといった業務プロセスやシステムの改善、業務マニュアルやインセンティブといった職場環境の改善、従業員の知識・スキルの向上などがあります。つまり、従業員だけをターゲットにするのではなく、その上司や職場もトータルにみて働きかけるというわけです。決して「ターゲット従業員の研修をやって終わり」ではないのです。
これらの解決策を実行することで、平均的な従業員でも事業目標達成のカギを握る重要な行動が発揮できるようにし、組織全体の成果・業績を向上させるというわけです。最後に、その効果を測定します。
パフォーマンス・コンサルティングは以上のようなプロセスを通じて、人事・人材開発施策の効果を高めようと主張しています。お気づきだと思いますが、これは従来の人材開発の仕事の進め方と大きく異なります。とはいえ、基本的な発想は、日本でおなじみの底上げに近いと言えるかもしれません。
パフォーマンス・コンサルティングというコンセプトは、1995年にデイナ・ゲイン・ロビンソンとジェームス・C・ロビンソン(以下ロビンソン夫妻)がPerformance Consulting (邦題『パフォーマンス・コンサルティング』2007年)という本を著したのが始まりです。
初版1995年
この本は、スペイン語、アラビア語、中国語、日本語に翻訳されています。初版の出版後、パフォーマンス・コンサルティングという考え方は世界的に広まりました。というのも、人材開発による事業貢献、事業戦略と人材開発の連動という積年のテーマに対し、具体的に取り組んでいくためのプロセス、パフォーマンス現状分析をするためのモデル、インタビューガイド、調査票の設計の仕方、クライアントへの報告の仕方など、非常に実践的なツールやガイドを数多く提供していたからです。
Performance Consulting first editionは、6万部が売れ、今では大学のテキストとしても使われています。
ロビンソン夫妻は、その後も多くの組織のパフォーマンス・コンサルティングの実績を積みながら、分析モデルやツールを進化させ、2008年には初版の内容を全面改訂したPerformance Consulting second edition (邦題『パフォーマンス・コンサルティング2』2010年)を著わしています。
さらに2015年にはPerformance Consulting third editionがでました。
第2版2008年
第3版2015年
パフォーマンス・コンサルティングⅡ
研修効果にこだわる人事・人材開発スタッフには、おすすめの一冊。人材開発部のビジネス志向を高めるための具体的なフレームを整理した本です。
人材開発の上流で役立つ情報が満載です。
ヒューマンパフォーマンスはパフォーマンス・コンサルティングを実践します。
人にかかわる施策、人材開発と事業戦略の連動性を高め、業績向上に貢献することがテーマです。研修効果で悩んだことがある方には有効なフレームワークです。人材開発のあり方や研修の見直しを検討されている人材開発担当の方におすすめです。
お気軽にお問い合わせください。
鹿野 尚登 (しかの ひさと)
1998年にパフォーマンス・コンサルティングに出会い、25年以上になります。
パフォーマンス・コンサルティングは、日本企業の人事・人材開発のみなさまに必ずお役に立つと確信しています。
代表者プロフィール
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