パフォーマンス・コンサルティング

パフォーマンス・コンサルティングとは-基礎知識

パフォーマンス・コンサルティング-基礎知識

それでは、パフォーマンス・コンサルティングの基礎知識をみていきましょう。全体の構成は以下のようになっています。

1.パフォーマンス・コンサルティングとは

  • パフォーマンスとは
  • パフォーマンス・コンサルティングとは
  • パフォーマンス・コンサルティングのプロセス
  • 新しい役割-パフォーマンス・コンサルタント
  • 重要フェーズ:パフォーマンス現状分析のフロー
  • 従来の人材開発とパフォーマンス・コンサルティングとの違い

2.パフォーマンス改善の原理

  • パフォーマンスが低い原因は何か?-職場環境要因と個人要因
  • パフォーマンスを改善するためには?-促進要因・阻害要因

3.パフォーマンス・コンサルティングの事例

  • 事例1 地区マネジャーのパフォーマンス改善(1995)
  • 事例2 ビジネスと連動する育成計画の立案とレビュー(2007)
  • 事例3 戦略実行支援部門に向けての変革(2021)

4.現在のパフォーマンス・コンサルティングの位置づけ

  • ATD重要度の高いコンピテンシーの推移-2004~2019
  • 研修設計・研修転移・研修効果測定とパフォーマンス改善の一体化
  • 研修設計とパフォーマンス改善-OK-LCD(2020)
  • 研修効果測定とパフォーマンス改善-カークパトリックの新4レベル(2016)

5.パフォーマンス・コンサルティングを活用するメリット

  • 経営幹部との「ビジネスと人材開発」の会話が変わる
  • ビジネスと人材開発の連動の基本動作が形式知化する

尚、以下の図表1~17は独自に作成しており、原著にないものが多数ありますので、あらかじめご了承ください。

早わかりパフォーマンス・コンサルティング(3分)はこちら

ビジネスと人材開発の連動にはコツがあります

パフォーマンスとは

まずは、「パフォーマンス」の定義をおさえましょう。

図表1.パフォーマンスの定義

ここで言うパフォーマンスは「組織で働く従業員のパフォーマンス」です。政治家・俳優・音楽・スポーツ選手・パソコン・金融などの世界で言うパフォーマンスではありません。

パフォーマンスには実務行動と成果の二つの要素があります。大事なことは、実務の行動の結果、成果が生まれるということです。もっと言うと、従業員の成果を改善しようと思えば、実務行動を改善しなければならないということです。

そして、最も難しいのは従業員の日々の実務行動を成果が高まるように変えることです。

パフォーマンス・コンサルティングとは

パフォーマンス・コンサルティングの本質は、「事業戦略を実行する従業員が高い成果をあげるように実務行動を改善する」ということです。厳密な定義は別途ありますが、図表2ではあまり堅苦しくならないように、平たい言葉でまとめましました。

図表2.パフォーマンス・コンサルティングとは

Performance Consultingの初版は1995年に出版され、米国の人材開発関係者に大きなインパクトを与えました。

図表3は当時の人材開発部門の状況とパフォーマンス・コンサルティングが提唱したことを対比させたものです。

図表3.初版出版(1995)当時のインパクト

当時、人材開発部門の名称は、トレーニング部とかHRDと言われていましたが、「パフォーマンス改善部門」に刷新し、スタッフはパフォーマンス・コンサルタントになってビジネスに貢献しようという提案をしました。

もう少し言うと、まず経営幹部の「研修の要望」の裏にある、改善したいKPIと重要な実務行動を明らかにします。そして、あるべき姿と現状のギャップの原因を従業員の能力と職場環境の観点から分析し、それぞれに手を打つというものです。

初版では読者がすぐに実践できるように、具体的な4つのニーズ、ビジネスと従業員のパフォーマンスの関係を俯瞰するマップ、現状分析アンケートの設計やインタビューの手順・質問例を解説しました。その結果、多くの人材開発関係者が色めき立ったというわけです。

パフォーマンス・コンサルティングの背景はこちら

パフォーマンス・コンサルティングのプロセス

パフォーマンス・コンサルティングのプロセスは、厳密には4フェーズ8ステップで定義されているのですが、図表4はこの4フェーズを平易な言葉で簡略化したものです。

最初のフェーズはパートナリングです。平たく言うと、経営幹部から研修の相談を受けるときに、事業を支援するコンサルタント的に対応することです。

たとえば、経営幹部から「〇〇研修をしてよ」と要望されたときに、すぐに研修の中身を詰めていくのではなく、経営幹部が悩んでいる事業の状況・改善したいKPIや従業員の実務行動、内外の環境などを構造的に整理していきます。

図表4.パフォーマンス・コンサルティングのプロセス

ここで、人材開発担当は、ビジネスと人材開発を連動させるように、新しい役割、パフォーマンス・コンサルタントという社内コンサルタントの役割を果たします。

新しい役割-パフォーマンス・コンサルタント

この新しい役割、パフォーマンス・コンサルタントは外部のコンサルタントのことではなく、社内の人材開発スタッフの役割です。

ジョブではなく、「役割」なので、専任の人もいれば、研修設計や組織開発の担当がパフォーマンス・コンサルタントの役割を果たすこともあります。

図表5.パフォーマンス・コンサルティングの2つのコツ

パフォーマンス・コンサルティングでは、こうした経営幹部と戦略実行に絡む人材開発のやり取りをするために、図表5のような多くの実践的なコツが整理されています。

パフォーマンス・コンサルティング研修の受講者の中には、経営幹部ヒアリングの際に、こうしたツールをうまく活用して、ディスカッションペーパーを作っている人もいます。

重要フェーズ:パフォーマンス現状分析のプロセス

先の図表4、パフォーマンス・コンサルティングの二番目のフェーズは、現状分析です。

図表6は、現状分析フェーズのフローを示しています。実はここがパフォーマンス・コンサルティングで最も重要なところです。

図表6.パフォーマンス現状分析のフロー

経営幹部が人材開発の相談をするのは、現状の組織業績と従業員のパフォーマンスにギャップを感じているからです。

現状分析で難しいのは、図表6の上から2番目の「従業員のパフォーマンスギャップ」を明確にするところです。なぜなら、「KPI改善に必要な成果のあがる行動」は経営幹部でさえも明確に説明できないことが多く、関係者により言うことが異なる場合が多いからです。

その結果、「従業員のパフォーマンスギャップ」があれもこれもと多数生じ、混乱します。

パフォーマンス・コンサルティングでは、図表5のようにハイパフォーマーの行動を手掛かりにして、「成果のあがる行動」を定義する手順、インタビューの質問例、インタビュー結果をモデルにまとめるコツなどが整理されています。

次に重要なのが「ギャップの原因分析」ですが、これも容易ではありません。というのは、KPIや従業員のパフォーマンスのギャップは、単純に従業員の知識・スキル不足だけで生じているわけではないからです。

パフォーマンス・コンサルティングでは、このあとみるように「パフォーマンスが低い原因」を組織外・職場環境・個人要因の3つで整理しており、どのような要因が絡み合っているのか、ひも解いていきます。

従来の人材開発とパフォーマンス・コンサルティングとの違い

それでは、従来の人材開発とパフォーマンス・コンサルティングでは何が違うのか確認しましょう。

図表7は、主な違いを整理したものです。重要な違いは「焦点と大前提」です。

従来の人材開発では、「よい研修をたくさん実施する」ことが焦点でしたが、パフォーマンス・コンサルティングでは「KPI改善に結びつく実務行動を促すこと」が焦点です。

図表7.従来の人材開発とパフォーマンス・コンサルティングの違い

また、従来の人材開発では「人の意識が変わり、スキル・知識を習得すれば、望ましい行動に変わる」という大前提でしたが、パフォーマンス・コンサルティングでは「人の行動と成果に影響する要因は多く、スキル・知識だけでは変わらない」という前提に立ちます。

こうした違いがあるため、ニーズ把握、プロセス、ソリューション、効果測定の内容が変わってくるということです。

ざっくりとしたパフォーマンス・コンサルティングの定義やプロセス、特徴がわかったところで、パフォーマンス改善の原理を見ておきましょう。

パフォーマンスが低い原因は何か?-職場環境要因と個人要因

図表8はパフォーマンスが低いときの主な原因を職場環境と従業員個人のふたつの観点で、6つの要因に整理したものです。シンプルに言えば、パフォーマンスを改善するには、パフォーマンスが低い原因を見つけ、手を打てばよいわけです。

この6つの要因をざっとみていきましょう。

「期待成果」とは、上司の目標設定、指示やフィードバックのわかりやすさのことです。「目標や指示がよくわからない」「いいのかわるいのか上司は何も言わない」といった問題があるときです。パフォーマンスが低い原因の大半は、この問題だと言われています。

図表8.パフォーマンスが低い原因

「職場の資源」とは、情報システムや業務のプロセスなどのことです。「システムが古く非効率」「DBの提案書やソリューションの事例が古い」と言った問題です。

「評価・インセンティブ」はお察しのように、「あれだけ大きな受注したのに評価されない」「目標達成したのにあのボーナスとは…」などと言っている状況があてはまります。

「知識・スキル」が足りないときのことは、新入社員時代や人事異動直後のことを思いだせばわかるでしょう。

ここでいう「能力」は、生来的な資質、仕事の向き不向きなど、変わりづらい能力のことを言っています。適性がない仕事をすると、結果は厳しいものになります。

最後の「動機」はいわゆる「やる気」のことです。やる気が低いときは行動も成果も高まりません。

このあとみる事例1でも出てきますが、多くの場合は、個人の要因と職場の要因が絡み合っており、単純に「一つの原因に手を打っておしまい」とはいきません。ここが難しいところです。

研修効果を考えるときには、こうした考え方が重要になります。

パフォーマンスを改善するためには?-促進要因・阻害要因

パフォーマンス改善の基本原理として、もうひとつ「促進要因と阻害要因」という考え方をみておきましょう。

図表9は、パフォーマンス・コンサルティングの著者ロビンソン夫妻が現在の職場の状況に合わせて作ったモデルです。

図表9.パフォーマンスの促進要因・阻害要因

たとえば、ある職場で「役割や期待のわかりやすさ」に問題があり、従業員の成果・業績が低いときは、職場環境の上司の期待成果があいまいなことがパフォーマンスの「阻害要因」ととらえます。

同様に、従業員に実務遂行に必要な「スキル・知識」がないために成果・業績が低いときは、個人の知識・スキル不足がパフォーマンスの「阻害要因」になります。

逆に、優秀な上司が期待成果を明確に示し、的確なフィードバックをして部下の業績が高い場合は、明確な期待成果がパフォーマンスの「促進要因」ととらえます。

端的に言えば、パフォーマンス向上に役立っているときは「促進要因」、パフォーマンス低迷の原因になっているときは「阻害要因」というわけです。

言い換えると、パフォーマンス改善とは、「阻害要因」を見つけて手を打ち、「促進要因」を見つけて望ましい行動をさらに促すことにより、成果を高めるということです。

パフォーマンス・コンサルティングの背景はこちら

少し抽象的、概念的な話が続きましたので、ここから具体的な事例をみていきましょう。

事例1 地区マネジャーのパフォーマンス改善(1995)

図表10は、初版で紹介されていた1990年代の事例を思い切って単純化したものです。これは書籍の解説図とは全く違うものなので、ご留意ください。

この例では、まずは石油販売会社の経営幹部から研修の相談を受け、事業が求めるKPI(売上)を特定し、そのKPI改善のカギを握る地区マネジャーをターゲットとしています。

現状分析では、高業績の地区マネジャーのコツ(重要な行動)をモデル化し、平均的な地区マネジャーとの行動ギャップを明確にします。そして、そのギャップの原因を見つけ、解決策を明らかにするのです。

平たく言うと、平均的なパフォーマーの「重要な行動にもかかわらずスキルが低い」行動を明らかにし、その原因に対する打ち手を見つけるということです。

図表10. 事例1. 地区マネジャーのパフォーマンス改善

図表10の現状分析1をみてわかるように、パフォーマンス・コンサルティングでは「店長が抱えている人事・労務の問題などの相談に乗り、適切なアドバイスをする」「ガソリン、付帯商品の価格設定、販売戦略について助言する」といった具体的な高業績のコツ(重要な実務行動)を明らかにします。これが大きな特徴です。

次に、図表10の現状分析2にあるように、ギャップの原因として、個人の要因と職場環境の要因を特定します。

そして、解決策では原因の「従業員の知識・スキル不足」、「職場の上司の指導」などに対して手を打つという流れです。

骨太になぞってみると、Should-Is-Causeのとても常識的な問題解決のプロセスです。パフォーマンス・コンサルティングでは、様々な企業のパフォーマンス改善の事例がありますが、骨格は図表10のようなイメージです。

事例2 ビジネスと連動する育成計画の立案とレビュー(2007)

ふたつ目の事例はビジネスと人材開発を連動する部門としての取り組み事例です。

実は、2007年の書籍で紹介されていた半導体企業、Qualcommの事例ですが、ここで注目したいことは二つあります。

ひとつは学習部門の社内コンサルタント20~120人が事業部のヒアリングや調査(ニーズアセスメント)をして、定期的に事業目標の実現に必要なスキルを明らかにしていることです。これだけの人数が組織的にパートナリングしていることは注目に値すると思います。

図表11. 事例2. 定期的なビジネスと人材開発の連動

こうして学習部門は事業部のニーズを把握して育成計画をつくり、事業部門の育成計画はさらに個人の能力開発計画に落とし込まれます。

ふたつ目は事業部長が事業部門の育成計画の妥当性と進捗をレビューする仕組みです。CLO(人材開発責任者)は半期ごとに事業部の幹部会で部門の育成計画の進捗を報告し、事業部サイドの評価を受けるというわけです。

この事例は人的資本経営が浸透してきた日本企業でもすぐに取り入れやすいのではないでしょうか?

事例3 戦略実行支援部門に向けての変革(2021)

3つ目の事例は、2021年の書籍で紹介されていたあるCLOが人材開発部門を戦略実行支援部門に変革した事例を簡略化したものです。

話が少し大きくなりますが、この事例でも参考になることはふたつあります。

ひとつは、最初に、自社の戦略に照らして、L&D(人材開発部門)の現状を冷静に再評価するというところです。そして、各事業の戦略とL&Dの現状とで整合性の取れていないところを見つけ、手を打つという考え方です。

図表12. 事例3. 戦略実行支援部門への移行

もうひとつは、L&Dの3か年の部門変革計画について、予算を含めてCEOやCFOに承認してもらうところです。ふつうは単年度の施策と予算を議論して終わる気がしますが、この事例では3か年計画の承認を得ています。

このCLOはHPなどの有名企業を渡り歩き、CEOやCFOに人材開発部門の変革3か年計画を納得させてきたようです。

パフォーマンス・コンサルティングは初版から人材開発部門の変革を提唱してきたので、事例1のような「従業員のパフォーマンス改善」だけでなく、事例2・3のような人材開発部門の変革事例が原書では多く紹介されています。

オンライン研修時代の4つの変化はこちら

それでは、現在、パフォーマンス・コンサルティングはどのような位置づけなのかを見ていきましょう。

ATD重要度の高いコンピテンシーの推移 2004~2019

ASTDコンピテンシー(2013)では、「学習はヒューマンパフォーマンスの改善の一手段であり、人材開発の役割は多様な解決策を組み合わせて職場のパフォーマンス改善を行い、業績貢献することにある」という考え方を明確にしています。

つまり、パフォーマンス・コンサルティングの考え方がASTDでは基本になったわけです。

図表13では、3回のASTDコンピテンシー調査で行われた、重要度の高い上位7項目の推移を整理しています。

図表13.ATD 今後重要なコンピテンシー上位7項目の推移

ATD2019ケイパビリティはこちら

ちなみに、「パフォーマンス改善」は連続して登場しており、この20年間、パフォーマンス・コンサルティングは重要なコンピテンシーとして定着したことがわかると思います。

パフォーマンス・コンサルティング1995~2025はこちら

研修設計・研修転移・研修効果測定とパフォーマンス改善の一体化

図表14は2015年前後から出版された研修設計・研修転移・研修効果測定の書籍に見られるプロセスやモデルを簡略化したものです。

図表14.標準化されたパフォーマンス改善への埋め込み

2015年以降に出版された書籍では、どれも上流でパフォーマンス・コンサルティング的なニーズ把握が必須になっています。さらに、研修設計だけでなく、研修転移(職場への打ち手)や効果測定も上流で設計します。研修後は、職場で行動の変化とKPIの変化をフォローし、その結果を効果測定として最終的に確認するという流れが一般的になってきました。

つまり、研修設計・研修転移・研修効果測定はパフォーマンス改善と一体化したのです。

コロナ後の人材開発の基本-ATD Handbook 2022はこちら

研修設計とパフォーマンス改善-OK-LCD

それでは、研修設計とパフォーマンス改善の一体化がわかりやすい例を見ていきましょう。

図表15はオーエンとカダキアの二人が考案したOK-LCD(2020)という学習設計プロセスを簡略化したものですが、パフォーマンス・コンサルティングの考え方が二つ埋め込まれています。

図表15.上流でビジネスと連動する研修設計-OK-LCD

オンライン研修時代の4つの変化はこちら

ひとつは、研修設計の最初に、ビジネスのKPIと重要な実務行動を学習目標に組み込むところです。

ふたつ目は、学習クラスタの設計で、①研修で学ぶ、②他者から学ぶ、③自分で調べて学ぶという3種類の学びを用意するところです。

言うなれば、①単発の研修だけではなく、職場での学び②③を広くとらえて設計するのです。ここにパフォーマンス・コンサルティングの「研修+職場環境への打ち手」という考え方が見られます。

研修効果測定とパフォーマンス改善-カークパトリックの新4レベル

次に、研修効果測定とパフォーマンス改善の一体化がわかりやすい例をみていきましょう。

図表16は、カークパトリックの新4レベル(2016)のプロセスを整理したものです。このプロセスには、パフォーマンス・コンサルティングの考え方が三つ埋め込まれています。

ひとつ目はBeforeで研修成果とするKPIと重要行動を設定し、ビジネスと学習施策を連動させるところです。ふたつ目は、Beforeで職場の促進・阻害要因を調べ、職場環境への打ち手を設計するところです。

図表16.パフォーマンス改善と一体化 カークパトリック新4レベル

カークパトリックの新4レベルはこちら

3つ目は、研修後、職場実践、研修転移を確実に実行してKPIと重要行動を改善するところです。これは「研修+職場環境への打ち手」の展開そのもので、新4レベルはパフォーマンス改善と研修効果測定が一体化していることがよくわかります。

2015年前後の書籍で、6Ds :Six Disciplines(3版、2015)という研修転移の本があります。キャル・ウィックらが最上流でビジネスと研修を連動し、研修設計・研修実施・研修転移・効果測定を一貫して行う提案しました。6Dsは版を重ね、フィールドガイド(2014)も出版しました。

6Dsはまるごとパフォーマンス・コンサルティングなのですが、フィールドガイドをみると、北米だけでなく、欧州、アジア、南米、オセアニア、中近東の事例が紹介され、世界的な広がりをみせてきたことがわかります。

他にもパフォーマンス・コンサルティングの考え方が埋め込まれたモデルは多数あります。

現在、「パフォーマンス・コンサルティング」が取りざたされることはほぼありませんが、人材開発の実務にしっかりと埋め込まれており、粛々と実践されている感じです。

研修転移6Dsはこちら

最後に、パフォーマンス・コンサルティングを活用するメリットを2点みておきましょう。

経営幹部との「ビジネスと人材開発」の会話が変わる

  次は『パフォーマンス・コンサルティングⅡ』(2008)の結びの一文です。

パフォーマンス・コンサルタントにとって、未来はチャンスにあふれている。今後、様々な企業が、競争の激しいグローバル市場で、高い業績をあげようとする。そして、様々なスキルギャップが生じ、企業が確実に成功するために必要な人材の確保やリテンションは難しくなるだろう。企業のトップはパフォーマンス・コンサルタントのような人材に目を向けるようになるだろう。トップは次のことが確実にできるように、助けてほしいと思っているのだ。それは、適切な人材が、適切な職務に、適切な能力を身につけて、タイムリーに就いているという状態だ。

 

何か人的資本経営と通ずることを言っていますが、2008年当時、米国のタレントマネジメントが人事・人材開発の主流になる予兆をとらえ、著者はこう述べたのだと思います。

パフォーマンス・コンサルティングでは、経営幹部と戦略実行に絡む人材開発のやり取りをするために、これまでにみてきたモデルをはじめ、ヒアリングの手順、質問のコツなどが整理されています。

パフォーマンス・コンサルティング研修の受講者の中には、経営幹部のヒアリングの際に、GAPS!マップやパフォーマンスモデルのディスカッションペーパーを作成し、成果をあげた人もいます。

何となくHRBPの仕事のように思うかもしれませんが、パフォーマンス・コンサルタントは「役割」なので、人材開発だけでなく、HRBP、ODの担当が担うこともあるわけです。

いずれにせよ、これまでの「経営幹部が要望している研修イメージを明確化する会話」とは全く異なる会話になると思います。パフォーマンス・コンサルタントという新しい役割は、おそらく経営幹部との会話の中身を変えるでしょう。

ビジネスと人材開発の連動の基本動作が形式知化する

日本企業でもビジネスと人材開発の連動が基本動作になっています。

とはいえ、「ビジネスと研修の連動性の良否を何で判断していますか?」という問いに即答できる人は少ないのではないでしょうか?

先にもふれましたが、図表17のように、パフォーマンス・コンサルティングでは、現在の人材開発担当に求められる重要なスキルのコツが整理されています。

図表17.パフォーマンス・コンサルティングの2つのコツ(再掲)

英語のことわざで、“Don’t reinvent the wheel.”を聞いたことがある人は多いと思います。

「ビジネスと人材開発を連動させるためのコツ」は既にあるわけです。

既に世界で30年以上活用され、成果をあげてきたパフォーマンス・コンサルティングの知恵を使わない手はないと思います。

事業・人材開発の効果的なニーズの把握と整理にはコツがあります

パフォーマンス・コンサルティングⅡ
事業成果・研修効果にこだわる人事・人材開発スタッフに、おすすめの一冊です。ビジネスと人材開発の連動を高めるための具体的なコツを整理した本です。

  • 経営幹部から事業の観点で人材開発ニーズを聞きだす質問例
  • 多くのニーズを構造的にまとめるツール
  • 従業員のパフォーマンスが低いときの原因と対処例
  • 経営幹部の戦略実行を支援した多くの事例等

人材開発の上流で役立つ情報が満載です。

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1章.パフォーマンス改善とは
2章.パフォーマンス改善する人材開発
3章.人材開発の実務に組み込まれたパフォーマンス改善
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代表者プロフィール

鹿野 尚登 (しかの ひさと)

1998年にパフォーマンス・コンサルティングに出会い、25年以上になります。
パフォーマンス・コンサルティングは、日本企業の人事・人材開発のみなさまに必ずお役に立つと確信しています。

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